今回の震災は、それまでは感じなかったであろう特別な気持ちを、たくさんの人達に思い起こさせます。
私もそんな中の一人です。
今日は、今まではブログに書こうなんて思っていなかったことを綴ってみたいと思います。
ネイルサロンで働いている卒業生が、時々スクールに遊びに来てくれます。
その時によく聞く言葉が、
「ネイルガーデンのスクールですって言ったら、あそこなら即採用ですって言われました。このスクールに通って本当に良かったです。」
そんな言葉を聞くたびに、彼女の人生の輝いている時間のお手伝いを少しはできたかな。と、
とても幸せな気持ちになります。
そして、ほんの少しだけ、スクールで教えてきたことは間違っていなかったなと確信します。
私は、ネイルスクールも就職も東京でしたので(25年前の大昔の話ですが)、すぐに就職が決まりました。
安定的なお給料も確保することができました。
でも、20年前に故郷の熊本に帰って、スクールを始めたときに、卒業後の就職先なんて全く皆無だったんです。
スクールに生徒さんが入っても、就職する場所を、紹介できない!!
そのことが、とても恐怖で、あんまり生徒さんに入学してほしくないってことが、何年も続きました。
きちんとした技術とそれに見合った資格は与えたのに、その先の本当の目的の就職先がない。
このジレンマにすごく悩まされ、71kgもあった体重が38kgになってしまった程です。(改めて数字を並べると自分でもびっくりします。)
このままでは、私も、私の信じていることも壊れてしまう。なんとかしなくては。
っと考え、思いついた!というか、しぼりだした答えが、就職先、つまりネイルサロンを作ることでした。
ネイルサロンを作れば、生徒さんの卒業後も就職先をきちんと確保できる。と。
そんな思いで、熊本に4店舗作りました。
最初は、1店舗2,3名の配置でしたが、現場のみんなの頑張りで、6.7名に増えました。
宮崎からも、片道3時間半をかけて通ってくる生徒さんがいましたので、その生徒さんたちに就職先を与えたいとう思いで、宮崎にもネイルサロンを出しました。
その当時の彼女たちが、しっかりとした基盤を作ってくれたおかげで、今では2店舗に増え、完全に信頼して、お店を任せられる存在に成長してくれています。
ネイルスクールでは、検定試験合格はゴールではなく、通過点だといつも言っています。
教えるときも、検定試験のことだけでなく、サロンワークのことも交えて伝えることで、ネイルの知識を、より幅広く、奥深く得てもらうようにしています。
ネイルサロンに就職したときに困らないように、自分たちの知っていることを、できるだけ伝えていきたい、という思いで指導しています。
今では、ネイルサロンも増え、ネイルをサロンでする方も増え、ネイリストという職業も認知されてきて、益々、指導者として頑張らなければ!と思っていた矢先に、
そんな中での未曾有の出来事。
4店舗ある熊本のサロンのうち、営業できる3店舗は、震災後3日後に営業を再開しました。
お客様なんて来なくてもいい。
みんなの顔をいつも通り見ること、いつも通りに仕事をすること、それが大事と考えました。
家が全壊したスタッフには、とても酷なことをしたとも思いましたが、彼女たちに、仕事の現場があるということを伝えたい思いで必死でした。
そしたら、なんと、営業再開初日に、ネイルのお客様がいらっしゃったのです。
「ネイルがボロボロだと元気出ないから」って。
その言葉を聞いたスタッフ達は、ネイリストとしての誇りをしっかりと確信したことでしょう。
私も、ただ一回だけ、この言葉を聞いて泣きました。
今も1店舗はクローズしたままですが、現在稼働している店舗にスタッフを割り振って、慣れない環境で頑張ってもらってます。
女性の、その一生は、本当に人それぞれです。
バリバリ仕事をするのもあり。
一生を捧げられるパートナーに出会って、彼を全力でサポートするのもあり。
子供を授かって、その子を大切に育てるのもあり。
それらすべてをバランスよくこなすもあり。
一度は捧げた人生のパートナーが、実はそんな器でないと気づき、やっぱり仕事は裏切らないと悟るのもあり。
等々…
みんなその時々で、その一瞬を輝かせるものは違ってきます。
今、弊社のネイルサロンでは、結婚、出産後しばらく休んだのち、復帰してもらえるよう、土壌を整えています。
ネイリスト=若い ではなく、キャリアを積んだネイリストしかできない接客があります。
本当にネイリストの仕事は面白いです。
好きなことを仕事にできるのって幸せです。
サロンを通して、ネイリストを、一生の仕事として続けていけるお手伝いが出来ればと考えています。挑戦です。
余談ですが、結婚式の主賓挨拶の決まり文句の始まりは、
「○○さんとのご縁は、○年前に私共のネイルスクールに入学したことがきっかけで始まりました。」
です。
このフレーズを何十回言ったことでしょう。
大切な彼女たちが、花嫁としてキラキラ光っている最高におめでたい席で、この言葉を言えるのは、とても幸せなことです。
ネイルガーデンプロフェッショナルスクール
校長 田尻ひろみ
熊本上通校 096-351-3383
info@nailgarden.co.jp